上司の中には、Z世代の部下たちとどのようにコミュニケーションを取っていいかがわからない、という方が多いのではないでしょうか。
うちの上司もみんな悩んでますもんね!
でも、その対策として行うことがイチイチ逆効果な気がしてならんのです。
たしかに、Z世代は自由な裁量で仕事をさせたほうがうまく行くと思いますけど、上司は逆にルールを増やして縛りたがりますよね。
そうしないと管理が難しいと思っているのでしょうけど、実は逆効果ということをわかってほしい。根本的に考え方を変えないと空回りばっかりだよなあ。
Z世代を教育するのではなく、昭和な上司たちを変革するんですね!
だって、どうしたってこれからはZ世代の考え方のほうが主流になっていくじゃない。今までみたいにがんじがらめにするやり方では生き残れないと思うのよね。
そうですよね〜。Z世代向きのやり方のほうが私たちも仕事やりやすくなりますね!
「組織」の昭和上司、「個人」のZ世代
上司が育ってきた「昭和」という時代は、組織重視で没個人が当たり前でした。
合言葉は「会社のために」。
会社の利益のためなら深夜の残業も仕方ない。
上の命令は絶対で、無理難題も否定することは許されない。
弱音を吐くことも許されず、途中で辞めようものならダメ人間のレッテルを貼られ差別の目で見られます。
そのためキャパを超えて仕事を続け、鬱病になる人が続出。
それでも昭和世代の「弱音を吐かずに無理をするのが美徳」の信仰は根強く残っています。
けれど、劣悪な職場環境による影響は問題視されるようになりました。
「ブラック企業」という言葉が生まれ、うつ病や自殺者の増加が社会問題になりました。
日本中で対策が取られ、今では勤怠管理の制度が整えられ、ハラスメントへの理解も増し、昭和の悪習は姿を消そうとしています。
Z世代は、その後の社会で育った人たちです。
そして「スマホ」を当たり前に持っている世代。
コミュニケーションツールのメインが「電話」だった昭和世代とは行動の仕方が全く異なるようになりました。
また「個人」を大切にするようになり、上から目線で価値観を押し付けられることに抵抗感を覚えます。
昭和世代の母親は「こうしなさい、ああしなさい」というのが口癖でしたが、Z世代の母親は「こうしたい?ああしたい?」と本人の自主性を尊重する教育に変貌しています。
Z世代に必要なのは「自由」
「Z世代はやる気がない」とよく言われますが、そうではないと思います。
ただ昭和世代の考える「やる気」とは、捉え方や価値観が変わってきているのではないかな、と思うのです。
今の社会はまだまだ昭和世代が主導権を握っています。
そのため「上から」の命令によって物事が進むことが多いです。
命令通りに出来ない、やらない人は「やる気がない」と判断されてしまいます。
でもZ世代は命令では動きません。
何で動くかというと「自分がやりたい」という欲求です。
自分で「やりたい」と思ったことには研究熱心で、様々なツールを駆使して昭和世代の想像を超えた成果を上げてきます。
Z世代は情報を活用するのがとても上手いので、昭和世代が1時間かけてやることが5分で出来てしまったりするのです。
つまり・・・Z世代がモチベーション高く楽しく仕事が出来るようにするためには、的確な課題設定だけを与え、あとは自由裁量に任せるのが一番ではないか、と思います。
例えば、とあるプロジェクトで達成すべき成果があるとします。
上司はZ世代の部下にどのように指示をすれば良いでしょうか?
昭和上司は何も疑問に思わずに「お前はこれをやれ」と指示をすると思います。
Z世代は自分の興味がないことをやらされてもやる気が出ませんので、つい後回しにしたり、表面的な情報を並べるだけのやっつけ仕事になります(一応やることはやります)。
上司の求めるレベルの仕事が出来ないので更に指示が増えると、Z世代のモチベーションは更に下がる・・・という悪循環。
でも、例えばプロジェクトの到達点を任せてしまって、あとは自由裁量にしてしまえば、Z世代の部下は「ゲームをクリアするように」達成するでしょう。
Z世代のモチベーションを上げるために「自己決定理論」の活用を
「動機付け」という言葉があります。
「行動を起こさせ、目標に向かわせる心理的な過程(goo辞書)」とのことですが、言い換えると「モチベーション」ですね。
この“モチベーション”をいかに維持するかは、仕事をする万人に共通する悩みでしょう。
昭和世代はモチベーションを報酬や賞罰、つまり「外発的動機付け」で保とうとしていました。
でも外発的動機付けは時間が経つと慣れてしまって効力を失います。
Z世代にはごくごく一時的な効果しか生み出しません。
頭の回転の速いZ世代に有効なのは、「内発的動機付け」になります。
内発的動機付けとは、自分の関心や好奇心などの欲求によって行動を起こすことを言います。
つまり、自分が興味を持てればどこまでも頑張れる、ということです。
ここで重要なのは「人から言われたからやる」ではなく「自分がやりたいからやる」という心理です。
それをやることによって感じる満足感、喜びが重要なのです。
自己決定理論の3大欲求
ここで「自己決定理論」について触れておきたいと思います。
自己決定理論は、アメリカの心理学者エドワード・L・デシが実証しました。
エドワード・L. デシ (著), リチャード フラスト (著), 桜井 茂男 (翻訳)
自己決定における3つの欲求は
・自律性
・有能感
・関係性
であり、これらが満たされると人間は生産的になり幸福を感じるのだそうです。
実際の職場では、逆の施策ばかり行われている気がします。
報酬や賞罰は外発的動機付けであり、支配感を感じてしまいます。
「お金を払ってるんだから言われたことをやれ」というやつですね。
これは「自律性」を低下させます。
また、お金をもらっている、ということに遠慮して失敗を恐れ、平均ラインを超えて能力を発揮できなくなります。
人との関係性も、「言われてやってることだから自分に責任はない」「言われたことだけやって他の人のことは知らない」という考えに陥りがちです。
これだと仕事を面白いとは到底思えませんよね・・・。
オフィスが必要な昭和上司、オフィスが必要ないZ世代
新型コロナの感染は世界を大きく変えました。
仕事の仕方も激変し、リモートワークの方法が飛躍的に発展しました。
そのおかげで「オフィス、もうなくて良いんじゃない?」と噂されるようになっています。
「ビーチで海を見ながら仕事をする」という状況に憧れてフリーランスを目指そうと思ったことはないでしょうか?会社に属さなければどこで仕事をするかは自分の好きにできます。
コロナ禍での仕事は、会社員でも「好きな場所で仕事をする」という憧れを実現できるのだということを体験できました。
社員たちは期待に胸をワクワクさせていました。
もう面倒な通勤をする必要はなくなるのではないか?と。
実際に出来ていたのですから、実現を阻む物理的な問題はないと考えていました。
ところがですね、ふくみみの会社では、また全員をオフィスに通勤させようという動きが出ています。
なぜかというと、リモートだと「管理がしにくい」からです。
社員がどこで何をしているかわからない状況は、管理者にとっては不都合でした。
給料を払う以上は労働時間中は全て会社のために捧げてほしいと考えるからです。
私は、成果さえ上げればあとは個人の裁量で良いと思っています。
効率化を工夫して早く完了した余剰時間は自由でいいと思います。
ですが昭和上司たちは許しません。
規定時間分きっちりと「仕事」をすることを求めます。
余剰時間ができたなら、別の仕事をもっとやるように、と。
せっかく色々工夫しても結局時間が自由にならないとしたら工夫しようという意欲をなくしますよね。
「どうせ締め切りまでに終われば良いんでしょ」と、ダラダラダラダラとやるようになってしまいます。
努力が何にも繋がらないって、本当に辛いものです。
でも昭和上司にとっては効率よくサクッと仕事を終わらせる部下より、与えた時間いっぱいダラダラやる部下の方が安心するのですよ。
とにかく「席について」いれば安心なのです。
「生産性」から考えれば、それは単なる拘束で無意味と感じますがいかがでしょうか?
管理され、監視される環境に置かれることで内発的動機付けはどんどん弱くなるでしょう。
もしオフィス不要のA社とオフィス出社必須のB社があったら、Z世代はどちらに魅力を感じるでしょうか。
ふくみみの会社、オフィス通勤必須にすることでまた離職率が上がるのではないかな〜と懸念しています。
若い良い人材も入らなくなりますよね!
おわりに〜Z世代が自由に仕事が出来るためのこれからの組織づくり
経営者・管理者は昭和世代が多いです。
そのため社員のモチベーションを上げる施策は「外発的動機付け」のものばかりです。
臨時報酬だったり、懇親会代を補助したり、労いのために上司が部下を飲みに連れて行ったり(気持ちは嬉しいですが)。
でも、Z世代の部下はそれで仕事のモチベーションが変わるかと言ったら、そんなことはありません。
美味しいものを食べさせてもらったりプレゼントをもらったからといって仕事の内発的欲求は満たされません。
なのに昭和上司たちは分かっていない。
「美味しいものを食べて発散させたから、これで仕事のモチベーションも大丈夫!」と堂々と言うのですよ!
おいおい、それ、意味ないよ〜。
世の中が見えて無さすぎる、と恐々としてしまいます。
これからの上司は「部下の内発的動機付けを満たすにはどうしたらいいか」ということをもっと考えるべきではないでしょうか。
もちろん、上司自身の内発的動機付けを高めるのも重要です。
上司が仕事を楽しんでいれば部下にも伝わりますから。
みんなが仕事を楽しんでいることほど最強のマネジメントはありません。
書きながら現実的には難しいのではないだろうかとふくみみも思います。
これは、ふくみみの願望でもあります。
上司が管理するのは業務の進捗ではなく、論理に基づいたモチベーション理論の実践で、その上司に従っていたら自然と仕事に対するワクワクが止まらなくなる、仕事が楽しくて仕方ない!なんて職場になってくれたら嬉しい・・・。
若いスタートアップ企業では実現しているところもたくさんありそう!
これからの働き方は若い人に学べ!ですよ
昭和世代は頭を柔らかくしてね!
\今回の参考書籍/
だから僕たちは、組織を変えていける ―やる気に満ちた「やさしいチーム」のつくりかた
新しい考え方の参考になります!